MY DORMEUIL-Special Interview-


MY DORMEUIL vol.04  

コラムニスト 中村孝則 氏
インタビュー



誕生から175周年を経、ドーメルは歴史的、文化的にも様々な方々のストーリーと共に歩んできました。現代の日本のカルチャーを代表する方々と綴るドーメルの魅力を、MY DORMEUILとしてお伝えしていきます。



ドーメルといえば、皆さんスーツを思い浮かべますが、着物を仕立てようと思ったのはなぜですか?


 きっかけは、知人からドーメルの生地で仕立てるモダンな着物プロジェクトの話をきいて、面白そうだ!と思って作らせていただきました。今日着ている長着は「エクセル(Exel)」袴は「トニック(Tonik)」ほかに、「アイコニック(Iconik)」で羽織を仕立てています。着物といってもドーメルはスーツ同様、様々な生地の種類から選べるのですが、江戸小紋に通じる粋があると思い、あえて細かいグレンチェックにしました。この見立てを見たドミニク・ドーメル氏が「当社のエスプリにも通じる」と、褒めてくれたのが大変うれしかったですね。

 


今年の3月にドーメルCEOドミニク・ドーメル氏にお茶席を設けたのは、どのような経緯だったのでしょう?

 

 今から4、5年ほど前に展示会で初めてドミニク氏にお会する機会があり、最近になって彼自身がドーメルの生地で着物を一式誂えたので、それを着て茶室でお茶を楽しみたいとの話しになり、これも何かのご縁なので、私の茶室でよければと、茶を一服お点てすることになりました。



スーツも着物もまさに「ダンディ」 に着こなされている中村さんですが、中村さんが着物を選ぶときはどんなシーンなのでしょうか?


 男の着物姿は海外の方になじみが薄いので、着るだけで存在感をアピールでき、会食やパーティーでは得に重宝します。海外で袴をはくと、「どうやってラゲージに詰め込んだのだ?」と決まって質問されますが、彼らは袴の中にワイヤーでも仕込んで膨らませていると思っているようで、着付けで膨らませているだけで、折り紙のように小さく折りたためると返すと、皆キョトンとした顔をします。それがまた愉快ですが。



そのように重宝されている大事な着物ですが、ズバリドーメル着物の良さとは?

 

 日本文化の着物と西洋の香り漂うファブリックとのマッチングが独特な世界観を創っていると思います。また、ドーメルの着物はスーツ生地でできているので、着物用の生地に比べて圧倒的に丈夫なうえ、お手入れはドライクリーニングで大丈夫なので簡単です。シワにもなりにくくパッキングしやすいので、よく海外出張のワードローブに加えています。



和洋折衷の奥深さから垣間みる着物の存在感とはどんなものでしょうか?



 以前にドミニク氏とお話しした際の、「スーツの色柄は、それを着る場所の気候風土や風景に映えなければならない」という言葉は、ワインで言うところのテロワールみたいな話ですが、ドーメルはフランスのブランドだから、結果としてその色柄の多くは、ヨーロッパの石畳や町並みに映えるように作られているのだと。


それを聞いたとき腑に落ちました。ヨーロッパの街並みでは、日本の着物の生地や色目がやや地味に映ってしまうこともあるのですが、そもそも着物を始め日本の伝統色や生地は、日本の気候風土に合うように作られているのだから当然かもしれない。ならば、西洋の風景で着物を着るなら、スーツ生地で作ればいいのではないかと。これも私がドーメルの生地で着物を仕立てた大きなポイントでもありました。

伝統と文化をベースにドーメルの新しい着物の世界にこれからも期待しています。


中村孝則


コラムニスト


葉山生まれ。ファッションやグルメ、旅やワイン&リカーなどラグジュアリー·ライフをテーマに新聞や雑誌、TVで活動中。海外取材も精力的にこなす。世界中のワイナリー巡りもライフワークのひとつ。また、講演やトークショーなども積極的に行なっている。

2007年にシャンパーニュ騎士団のシュバリエ(騎士爵位)の称号を叙勲。 2010年には、スペインより、カヴァ騎士の称号を叙勲。また、コロンビアより、ベスト・オブ・コロンビア大使に任命され、コロンビアの国家ブランディングを監修している。 2013年から『世界ベストレストラン50』の日本評議委員長も務めている。

剣道教士七段

大日本茶道学会茶道教授



DORMEUIL AOYAMA

1842年パリ創業のラグジュアリーファブリックブランド、ドーメルのテーラー。メンズ、レディース。

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