環境保護とトレーサビリティーのファブリック 「Tonik Wool」 ローンチイベントレポート

1842年パリ創業高級服地ブランドDORMEUIL(ドーメル)は、3月13日CEOドミニク・ドーメルが来日記者会見を行い、環境保護へのプライオリティとトレーサビリティ保証の新作服地「Tonik Wool(トニックウール)」を発表いたしました。


会見では来賓にアルゼンチン共和国特命全権大使アラン・ベロー氏、スペシャルゲストに宇宙飛行士の毛利衛氏を迎え「宇宙から見た生命のつながり」をテーマにお話しいただき、ご来場の皆様にドーメルのフィロソフィーである、“人、動物、自然の尊重”への理解を深めていただきました。レセプションパーティーでは、Tonik Wool新作ムービーを公開、パタゴニアビーフやワイン、フォルクローレミュージック、Tonikにちなんだジン&トニックバーで、パタゴニアを体感していただきました。


ウールとモヘアをブレンドしたドーメルのTonikは 1957年にデビュー 、前例のない新技術により実現したシワになりにくい服地として名を馳せ、この服地で作ったスーツは、旅行で着用してもシワひとつ残らない無敵のウエアと呼ばれていました。60年代メンズファッションの歴史に名を刻んだTonikは、それ以降かの有名なジェームス・ボンドのスーツとして語り草となっています。 


今回新たに誕生した「Tonik Wool」ではモヘアに代わって、近似した性質を持つ高品質なパタゴニアウールを採用。良質なパタゴニアウールは、アンデス山脈から拭き下ろす強い風と灼熱の暑さの自然環境にある南アメリカ大陸のアルゼンチンとチリに跨るパタゴニア地域で産出されます。クリンプが多く膨らみがあり、服地に仕上げると通気性、保湿性、そして伸縮性を併せ持ちます。毎年限られた量の原料が刈り上げられる希少性の高い原料で、羊たちは現地の伝統的な手法にのっとって、雄大な自然環境の中で飼育されています。


オリジナルTonikよりも柔らかくなめらかで、目付295gとはるかに軽量です。超強撚糸とナチュラルストレッチ性の緯糸によって防シワ効果があり、夏の旅行や長時間のフライトに理想的。現代人のライフスタイルにふさわしい、着心地の良さとシワを回復する力を兼ねそなえています。パタゴニアの貴重なウール繊維が、最新の技術によってエレガントかつ一日中シワになりにくいスーツを実現しました。製織はイングランドのヨークシャーにあるドーメルのファクトリーで行い、パタゴニアウールをフランスのデザインと英国の技で洗練し、タイムレスなファブリックへと新たな命を吹き込んでいます。


また、Tonik Woolは、すべてトレースできる(追跡可能)パタゴニア産ウールを原料としています。ブロック・チェーン・テクノロジーによって特定、認証された各生産段階のデータを保護し共有しています。 Tonik Woolの生地ラベルに織られたQRコードを読み込むと、供給経路全体をご確認いただくことができます。 さらにドーメルは環境と動物の保護に年々注力し、ウールの提供元である羊たちと、製造工程にかかわる人々の労働環境の保全にも取り組んでいます。牧場の環境において、羊たちが最も快適な環境で生育するためのプロトコルを設定しています。


ドーメルは、地球への多大なる敬意をはらい、人間と動物と環境の調和を保つため、情熱をもって行動します。服地の創造という大いなる冒険は、自然の均衡が保たれてこそ、成功となるのです。Tonik Woolは単なるハイパフォーマンスファブリックではありません。


このドーメルの哲学こそがTonik Woolなのです。



CEOドミニク・ドーメル スピーチ全文


大使、特別なゲストの皆様、私の大切な友人の皆さん、パタゴニアのウールから作られた新しい服地、トニックウールを発表するという、この特別なイベントに、ご親切にお集まり下さり、厚く御礼申し上げます。特に今日は、大使にご臨席賜り、心よりお礼申し上げます。大使のご臨席は、私達皆にとって、特に私にとって大変栄誉ある事です。

なぜあのアイコン的服地を蘇らせるトニックウールなのか?

ドーメルは常にメゾンの歴史と過去のアーカイブを大切にしてきましたが、技術革新を企業戦略の優先事項にみなしてきました。1957年発表のトニックは、その光沢とシワになりにくさでメンズファッション業界に革命をもたらしました。トニックウールが、その当時と同じようなインパクトを現在、未来のファッション界に与える事を期待します。

現代版トニックウールでは、モヘアの代わりに、パタゴニアウールを採用。パタゴニアウールは、シワになりにくいという、モヘアに近い性質を持ちます。糸に撚りをさらにかけ、それが生地のもつストレッチ性と相まって、よりパフォーマンスが高まりました。トニックウールは最高級のパタゴニアウールのみを使って製織された、完全なトレーサビリティを示す事ができる、特別にピュアな環境で生み出された服地です。私たちが撮影した、トニックウールのショートムービーをご覧ください。

さてここからはフランス語にスイッチします。なぜなら、ヨークシャーが繊維産業の発祥の地であるならば、フランスはファッションの発祥の地だからです。ドーメル社は大変幸運な事に、英国とフランスの2つの文化の継承者であり、2か国の伝統のノウハウの継承者でもあります。

 

私達が生きている今の世の中は、すべてがスピードアップし、自分達を取り巻くものへの思いやりが徐々に消え失せ、スピードや革新、新しさをひたすら追い求める欲望だけの世界になっています。 

生地や原材料なくして、ファッションは何の価値も持てません。そして、その原材料を生み出している自然を完全に尊重しないと、原材料にも何の価値もなくなります。

 

ドーメル社は、社会に対して責任ある姿勢を示す事を常に中心に考えてきた家族企業です。環境や動物たちに対する責任であり、取引先、お客様に対する責任を世界中で示そうと行動して参りました。そのため、事業活動が環境に及ぼす影響を減らそうと常に務めています。ファッション産業は石油産業に次いで、世界で最も環境を汚染する産業の一つです。

 

だからこそ、今、私達はトニックウールの発表によって、行動を起こし、私達の姿勢を示します。これはエシカルな方針を進めようとする私達の誓いなのです。それによって、地球を守り、人権だけでなく動物たちの権利も尊重します。フェアトレードを実践し、現地の古来からのノウハウとドーメル社のイノベーションの伝統を融合させるのです。 

トニックウールは、単なるモダンな、パフォーマンスが特別に良い生地というだけではありません。この服地に込められた哲学がドーメル社の価値観を表しているのです。

 

私達を取り囲む環境を尊重し、大切な物を、元々あった場所に戻すのです。

自然の本来の姿を残す事で、私達は自然からイノベーションを貰ったり、我々の未来を貰う事ができるのです。

 

パタゴニアウールを使ったトニックウールと、ブロックチェーンのテクノロジーによる、生地の完全なトレーサビリティの証明は、ひとつの革命の始まりです。トニックウールには、このブロックチェーン技術が使われています。インターネットのお陰で、情報はデジタル化できるようになりましたが、ブロックチェーンによって、信頼がデジタル化されるようになったのです。これは革命的な事です。複数の電子証明書によって、動物から始まって生地、つまり製品になるまでのすべての過程を追跡し、トレーサビリティーを示す事ができるのです。 

ブロックチェーンはブラントと服の所有者を結び付ける力を持つものです。

 

今日ここにいる皆さんはすべて、日本のモード界の先駆者であり、リーダーです。

 

皆さんと一緒に新しいモード界を作りあげ、過去とは決別し、本当に意味のある、真の価値を持つ、上質な製品を提供して参りましょう。お客様に対して、私達の製造プロセスを透明に、クリアに示して参りましょう。

 

トニックウールはモード界全体の歯車の一つに過ぎません。でも、どこかでそれを始めなければなりません。なぜなら、それが我々の責務だからです。

 

小さな小川が集まれば、大きな川となります。

 

本日は、トニックウールの発表に、一緒に居てくださり、皆様本当にありがとうございます。


DORMEUIL AOYAMA

1842年パリ創業のラグジュアリーファブリックブランド、ドーメルのテーラー。メンズ、レディース。

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